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弁護士リレーブログ

医療過誤か否かの調査

2017.11.09

 患者側で医療事件に携わっている弁護士の多くは、医療事件に関してはすぐに相手方医療機関に対して損害賠償請求を行うということはせず、まずは医療過誤であるか否かを調査するという形で受任することを原則としております。
というのも、医療行為の過程で重篤な結果(死亡、後遺障害残存)が生じたからといって、直ちに医師の処置に過失があったことにはならないからです。

 例えば、手術中の操作が原因で大量出血に至って死亡したとしても、それだけでは手術時の操作に過失があったことにはならず、「通常の水準を下回るようなずさんな操作をした」ということを証明できて初めて過失があったことになります。
結果責任ではなく、通常の水準を下回るような処置・対応をしたか否かという点が問題になるので、医学文献を調査したり協力医の意見を聞いたりして十分な調査をしなければ、医療過誤か否かを判断できません。

 私の経験上、調査をしていく中で医師の処置に過失があったとの結論に至る事例は実は多くなく、医療過誤とはいえないとの結論に至ることが比較的多いように思います。
医療過誤ではないという調査結果の場合はその段階で受任は終了ということになります。
調査の結果は報告書という形で書面化し、問題となりうる処置とそれが法的に過失と評価できるか否かを医学的な根拠を踏まえて分かりやすく記載するようにしています。

 医療過誤ではなかったという調査結果は、依頼者の当初の期待とは異なることになります。
しかし、医療過誤ではないということは、少なくとも水準を下回る医療がなされたわけではなく一定水準の医療はされたという評価もできるわけです。
遺族の方は、患者さんが亡くなってしまったことで、自分がこの病院に対応を任せてしまったという自身の決断を強く悔いていることが多いです。
その意味では、医療過誤でなかったという結果になった場合であっても、遺族の方の後悔のお気持ちを少し和らげるという点で、調査を行う意味はあると考えています。
(執筆担当:会員弁護士Y.U.)

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