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医療事故と民事調停

2021.11.30

1 医療事故が発生し,相手方の医療機関と紛争になったときの解決方法としては,直接交渉・民事訴訟が広く知られていますが,それだけではありません。裁判所内外で,第三者を介して話し合いをする手続きがあります。このうち,裁判所外での話し合いであるADR手続については以前紹介しましたので(2019年11月),今回は,裁判所での話し合い手続きである「民事調停」についてお話しします。

 

2 裁判所は,訴訟とは別に,話し合いによる解決を目指す民事調停手続を設けています。具体的には裁判所の「調停委員会」が話し合いを主宰し,中立の立場で,当事者双方の言い分を聞きながら解決に向けて助言をしたり,案を出したりして手続きを進めていきます。

その結果,当事者双方で合意ができれば調停が成立し,判決書と同じ効力を持つ「調停調書」が作られて紛争が解決します。他方,調停はあくまでも話し合いであるため,相手方が調停に出席しないとき,出席したが合意できなかったときには調停不成立として手続きが終わります。

 

3 民事調停は,原則として,当事者の一方が簡易裁判所に申し立てることで開始しますが,医療事故については,両当事者の管轄合意があれば地方裁判所に申し立てることもできます。大阪地方裁判所の場合は,医事集中部が調停を担当します。

(ホームページ:https://www.courts.go.jp/osaka/saiban/medical/01_02_jiken/index.html)。

申立をうけて,事件ごとに調停委員会が選任されます。例外はありますが,通常は,裁判官1人と民間から選ばれる調停委員2人の合計3人から構成され,調停委員はたいてい医師と弁護士のペアになります。この3名が毎回協議をしながら,手続きを進めていくのです。

 

4 当事者間の対立が激しく,話し合いによる解決が全く期待出来ない場合には,調停手続を利用する意味はありません。しかし,調停の場でじっくり協議し,解決を目指すのに適した事案もあると思います。以下,いくつか考えてみました。

(1)診療科目について

① 歯科の事件

歯科は,患者側の協力医を探すのが難しく過失を検討しにくいこと,損害額が低額になりやすいことから訴訟提起のハードルは高いと言われます。しかし,民事調停の場合,歯科医師が調停委員に選任されますので,中立の立場からの意見をもとに,適切な解決を目指すことが期待できます。

② 美容外科の事件

歯科と同じく,過失を検討しにくく,損害額が低額になりやすいので,訴訟提起のハードルは高くなりがちです。他方で,話し合いによる解決が望ましい事案が多いので,調停手続には適していると言えます。

③ 医療類似行為

整体・鍼灸にまつわるトラブルについて,一般的に過失の立証が難しいと考えられますが,民事調停ではこうした事案も扱っています。

(2)争点について

医療機関が過失については認めているものの,因果関係(過失と結果との結びつき)や損害額が争点になっている事案については,調停手続を用いて,話し合いによる解決を目指すことが適していると考えられます。特に,損害額のみが争点になっている場合には,訴訟よりもむしろ適しているのではないでしょうか。

(3)地方裁判所と簡易裁判所

先にお話したとおり,医療事故の場合は,場合によっては,地方裁判所にも簡易裁判所にも調停を申し立てることが出来ます。どちらに申し立てるべきかはケースバイケースですが,一般的に言えば,因果関係などに争点があり医学的観点からの意見を得たい場合には,地方裁判所に申し立てたほうがよいと思われます。医事部が事件を担当しますし,事案によって専門分野の医師(調停委員)から意見を得られる可能性もあります。損害額のみが争点である場合,被害が比較的軽微で早期解決を希望する場合などには,簡易裁判所への申し立てが良い場合もあるでしょう。手続きの選択については,事前に担当(代理人)弁護士とよく相談して決めることが必要です。

 

5  医療事故の場合,患者側弁護士も含めて,どうしても,訴訟による解決が期待出来るか否かが関心事になりがちです。しかし,裁判所にも民事調停という解決に向けたメニューがありますので,事案に応じて,ご利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

会員弁護士 T.T

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