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ワクチンと健康被害

2020.08.31

1 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防の切り札と期待されるワクチン開発のニュースが,連日のように世界で,我が国で報道されています。今回は,ワクチンに関するお話をします。

 

2 ワクチンとは,接種することで感染症を予防する生物製剤(医薬品)のことをいいます。あらかじめ病原性をなくした(不活性),あるいは弱くした病原体(ウイルスや細菌。弱毒化といいます。)をワクチンとして体内に入れることで免疫を作り,病気を予防するメカニズムを持っています。

18世紀末に,イギリスのエドワード・ジェンナーが天然痘ワクチン(牛痘)を発見したことが始まりとされ,その後,19世紀後半から20世紀にかけて狂犬病,コレラ,ペスト,結核,インフルエンザ,日本脳炎,ましん,肺炎球菌,肝炎など,多くの病気に対してワクチンが開発されました。20世紀後半から現代にかけては,新たなワクチン生産方法の開発により,さらに多くのワクチンが新たに使用可能となりました。ワクチンは,重大な感染症を予防するのに大変優れた手段であり,我々の生活に大きな役割を果たしています。

 

3 しかし,いくら弱毒化・不活性化されているとはいえ,ワクチンが病原体をもとに作られている以上,健康被害(副反応)が発生する危険性は避けられません。ワクチン開発には長い年月を要し,通常は三段階の研究・試験を経た上で薬事申請・審査を受け,ようやく医薬品として認可されるのですが,それでも,完全に安心とは言えないのです。

副反応には,皮膚が赤くなる・腫れる,発熱,発疹などから,重いものではアナフィラキシー(重いアレルギー),神経障害,脳障害などがあり,まれに死に至ることすらあります。

このため,国が定期接種を実施するワクチンであっても,その危険性を十分理解した上で接種を受けることが肝心とされています。

 

4 では,ワクチン接種の副反応によって健康被害を蒙った場合,被害者の救済はどのようになされるのでしょうか。現在,公の救済制度として以下の2つが定められています。

① 予防接種健康被害救済制度

いわゆる定期接種(予防接種法による接種)の場合,接種行為と健康被害の間に関連があると厚生労働大臣が認定された場合,過失の有無にかかわらず,市町村から給付を受けることができます。

② 医薬品副作用被害救済制度(PMDA)

上記以外の任意接種による健康被害については,通常の医薬品副作用と同様に②の適応となります。ワクチンを適正な使用目的に従い適切に使用したにもかかわらず重篤な副作用を起こし、その結果入院が必要になったり、後遺症が残ったり、死亡などの健康被害を受けた場合に、この制度によって被害者や遺族が救済される可能性があります。

 

5 予防接種訴訟

ア ワクチン接種による健康被害が,国あるいは医療機関の過失により発生した場合には損害賠償請求訴訟を提起することが考えられます。しかし「健康な人に通常想定される方法で接種をした結果」健康被害が発生した場合,多くは,避けられない副反応として過失が否定されるため,立証は簡単ではありません。一般論としては,通常の医療事件よりさらに難しいと言えるでしょう。

イ しかし,我が国では,ワクチン接種によって,何度か大規模な健康被害が発生しており,国や製薬会社の過失を追及する集団訴訟が多数提起されました。

現在も訴訟が係属しているものに,HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)接種禍による集団訴訟があげられます。同ワクチンは,平成25年4月から定期接種が開始したものの,深刻な副反応(激しい疼痛,嗅覚味覚障害,記憶障害等)が多数報告され,同年6月には,厚生労働省が積極的な接種勧奨を一時中止しました。平成28年7月,被害者らが国と製薬会社を相手取って各地で集団訴訟を提起し,被害の補償や治療法の確立を求めていますが,接種と被害の因果関係のほか,HPVワクチンの有用性・安全性が大きな争点となっているようです。

 

(会員弁護士T.T)

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