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病理解剖について

2020.05.15

皆さんも,テレビや映画の刑事ドラマの中で「(遺体の)解剖」という言葉を聞かれたことがあることと思います。「解剖」にもいくつかの種類がありますが,刑事事件の場合の「解剖」は「司法解剖」と呼ばれるものです。死因に事件性があると思われるときに,死因を明らかにすることを目的として刑事訴訟法に基づいて法医が行うものです。

医療の現場で亡くなった患者さんについて行われる解剖は,「病理解剖」と言われており,病理医が,疾患の本体,臨床診断や治療の適正さ,死因の究明を目的として実施します。

他には,「系統解剖」(人体の正常構造を明らかにすることを目的として医学生の教育のために行うもの),「行政解剖」(伝染病,中毒,災害などによって死亡した疑いのある場合に死因を明らかにすることを目的として監察医が行うもの)があります。

 

さて,治療中に患者さんが突然死亡し,その死因について特定できないといった場合に,医療機関から「病理解剖」を行いたいとの申し出がなされることがあります。病理解剖は,特別な事情がない限り,遺族の承諾が必要(死体解剖保存法第7条)なため,医療機関が独断で行うことはできないものなのです。

このような申し出がなされた場合,皆さんは,それを承諾されるでしょうか。

「それでなくても,これまで手術や治療で苦しい思いをしてきたのに,これ以上遺体を傷つけるような処置はしたくない。」と思われるのも,ご遺族の自然な感情だと思われます。

しかしながら,解剖がなされなかったことによって,結局,死因が判明しないままになってしまい,手術や治療の妥当性についての判断ができなくなってしまうことがあり得ます。勿論,解剖をすればすべてが明らかになるというわけではありませんが,病理解剖を実施することで,死因特定の可能性は格段に高まるでしょうし,生前には見つかっていなかった疾患や未知の疾患についての重要な情報が得られることもあると考えられます。そして,それらの情報を基に,診断の妥当性や治療効果を詳細に検証することが可能になります。

 

 

闇雲に病理解剖をお勧めするわけではありませんが,ご遺族が医療過誤を疑っておられるのであれば,解剖所見は貴重な情報となります。医療機関側から病理解剖の申出がなされた場合のみならず,ご遺族側からの積極的な要請が必要な場合も考えられます。死因不明の場合,万が一過失行為があったとしても,死という結果との因果関係の重要な立証手段を欠くこととなり,医療機関や医師の責任を追及することが非常に困難となるからです。

他方,病理解剖結果をご遺族に説明することで,例え不信感が生じていても理解を得られ,医事紛争を回避できる可能性に着目して,「病理解剖は,もっとも客観的な解決手段」と考える医師もいるように,特に過誤はなかったということが判明すれば,医療機関に対するご遺族の不信感も薄れ,辛い思いをなさることもなくなるのではないでしょうか。

 

会員弁護士 Y.U

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