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弁護士リレーブログ

医療問題弁護団・研究会全国交流集会(神戸)

2017.05.14

 医療過誤事件について患者側の立場で取り組んでいる弁護士は、全国各地で「研究会」又は「弁護団」という名称で任意の団体を結成して活動しています。各地の弁護団・研究会は、日常、それぞれ独自の活動を行っていますが、1年に1回、各地持ち回りで交流集会を開催し、研究成果を発表したり、経験交流を行ったりしています。

 全国交流集会の歴史は古く、昨年(2016年)に神戸で開催された集会が第38回を数えています。ちなみに、2015年に開催された第37回の集会は、大阪で開催され、当研究会も実行委員会を結成して準備に追われました。

 第38回の研究会は、12月2日・3日の2日間にわたって開催されました。1日目のテーマは、「医療事故調査制度創設から1年を迎えて」(名古屋・医療過誤問題研究会担当)、2日目のテーマは、「医療機関が破綻した際の債権回収」(講師:野村剛司弁護士)、「美容医療について」(美容・エステ被害研究会、兵庫医療問題研究会担当)でした。

 1日目のテーマであった医療事故調査制度は、2015年10月1日からスタートしましたが、法律上の制度として一定の場合に院内事故調査が医療機関に義務付けられることになり、画期的な制度となるはずでした。しかしながら、対象となる医療事故が「医療に起因しまたは起因したと疑われる死亡・死産のうち、当該病院等の管理者が予期しなかったもの」とされており、どのような事故が対象となるかについて不明確さがあるうえ、判断主体が当該病院等の管理者とされているため、果たして中立公平な運用を行うことができるのか、不安が残る制度設計でした。実際、制度発足後、2016年10月末時点での医療事故報告件数は423件にとどまっており、当初想定された件数を大幅に下回っているとの報告がありました。また、遺族側からみて、本来調査が行われるべきであるのに、医療機関側の判断で医療事故調査が行われなかった事例の報告もありました。他方で、医療事故調査に普段患者側の立場で関与している弁護士が外部委員に加わることで、患者の遺族側にも納得ができる調査が行われた例の報告もありました。

 紆余曲折を経てようやく創設された制度を実のあるものとしていくために、患者側代理人の努力も必要であることが痛感されました。
(執筆担当:会員弁護士H.I.)
 

以上

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