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弁護士リレーブログ

診療看護師ってご存知ですか

2024.06.24

昨今,医師不足が叫ばれる中,医師の働き方改革として医師の時間外労働時間の上限が規制され,医師の業務を分け合うタスクシェアの需要が高まっております。そこで,現在,注目を集めているものとして「診療看護師」があります。

 

診療看護師(Nurse Practitioner:NP)とは,患者のQOL(quality of life:生活の質)向上のために医師や多職種と連携・協働し,倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行なうことができる看護師のことです。

診療看護師になるためには,単に看護師免許を取得するだけではなく,看護師免許を取得後,5年以上の看護実務経験を経て,大学院の修士課程において医学の知識と初期医療に関する実践を修了し,一般社団法人日本NP教育大学院協議会が実施する認定試験に合格することが必要です。

診療看護師の主な業務内容は,問診・初期診療・検査などの「相対的医療行為」で,厚生労働省が定める特定行為に限り実施可能とされています。患者の診察や気管内挿管,薬剤の投与判断,検査の実施とデータ評価など,その内容は多岐にわたります。

他にも,従来では医師でなければできないとされていた手術助手,麻酔管理,胸腔・腹腔穿刺,中心静脈ルートの確保,動脈穿刺などの特定の診療行為も,医師の指示に基づいて行なうことが許されています。

また,診療看護師は,従来の看護師よりも侵襲の高い処置が実施できるだけではありません。患者の病態を全体で捉えられるように疾患に対する基礎知識や治療内容などについても専門的な教育を受けていますので,医師がいなくても患者の病状をタイムリーにとらえ,検査や処置を行ない,適切な説明を行なうことも可能とされています。クリニカルパスやリハビリプランなどの「医療計画の作成」も行ないます。医師と相談の上,患者の治療に必要な医療計画を作成するのです。

さらに,スタッフの「教育・育成」も行ないます。豊富な看護業務の経験があり,専門教育を受けているので,多くの知識・技術を有しています。そのため,実際の臨床では他のスタッフへの教育・育成を任されていることも多いようです。

 

以上のように,診療看護師の業務の幅は広く,相対的に責任が重くなっているといえます。今後,いろいろな医療機関で診療看護師の活動が広がっていくに伴い,みなさまも接する機会が増えるかと思います。患者側弁護士としても「誰の」「どの行為」が原因で不幸な結果が生じたのかという具体的な注意義務違反行為を考える上で,診療看護師という新しい制度の知識獲得にも努めています。

 

会員弁護士 M.M

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