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弁護士リレーブログ

統計からみる医療訴訟(令和4年度までの統計データを踏まえて)

2023.11.30

1 はじめに

2020年2月7日付で「統計からみる医療訴訟」というタイトルで、裁判所がまとめた統計データをもとに医療訴訟の現状についてコメントしました。

その後3年以上経過したので、直近の統計データをもとにコメントしたいと思います。

 

直近のデータは、こちらの裁判所のHPから確認することができます(令和4年までの統計データが掲載されています)。※ただし令和4年は速報値

https://www.courts.go.jp/saikosai/iinkai/izikankei/index.html

 

対象とするのは平成31年度(令和元年度)から令和4年度までのデータとします。

 

2 データの分析

(1)平均審理期間

平均審理期間は25.2か月~26.5か月の範囲内です。つまり、審理に2年以要していることになります。

 

(2)認容率

認容率(原告にとっての勝訴率)は、17%~22.2%の範囲です。つまり、判決となった場合、認容となるのは2割程度で、残り8割は棄却(原告敗訴)ということになります。

 

なお、医療訴訟ではない通常訴訟の認容率は80%以上(人証調べ実施したケースでも60%前後)です。

 

(3)終局区分

事件全体のうち、判決となった割合は、29.7%~31.9%の範囲です。他方、和解となった割合は52.4%~52.7%の範囲です。

つまり、事件のうち半数以上は和解で終了していることになります。

 

3 雑感

前回のブログでは、統計データを踏まえた医療訴訟の実情について以下のようにまとめました。

 

・医療訴訟は判決となった場合、認容率は20%以下であり低い

・ただし、実際の医療訴訟事件の半数以上は判決ではなく和解で解決しており、患者側に一定の支払いがされているケースが多いと考えられる

・訴訟に至る前の示談や調停、ADRで解決しているケースも相当ある

・判決となるのは、示談や調停等で解決できず、和解も成立しなかったということから、特に困難な案件が判決に至っていると思われる

 

 

この傾向は現在も特に変わっていないといえるでしょう。

 

 

会員弁護士 Y.U

 

 

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