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コロナに感染後死亡した患者の説明会を開催して

2023.10.28

昨年(令和4年)5月頃、親がコロナに感染後に死亡したが、どのようにして亡くなったのもわからず、調べてほしいという依頼がありました。

 

コロナ感染が拡大していた令和3年の初夏、介護老人保健施設に入所していた患者さん(80歳代)は、食事が十分に摂取できなくなり、経鼻栄養のため病療養型の病院に入院しました。当初は、COVID-19感染対策のため入院患者と家族との面会は禁止でしたが、秋頃、患者の状態が芳しくないため例外的に患者との面会が家族に許可されました。

その後、投薬によって患者は回復し経鼻栄養が不要となったことから予約制の対面面会となり、令和4年1月頃からはリモート面会だけとなりました。

2月になって、病院から家族に「コロナが病院内で発生したのでリモート面会を中止します、患者さんは変わりないです。」と電話連絡がありました。

その1週間後の昼過ぎに、「患者さんが発熱したのでPCR検査をすると陽性でした。」と電話があり、家族の質問に対して医師は10日前に3回目のワクチン接種をしたと回答しました。翌日の夕方に、呼吸が止まりそうになっているが、来ても会えませんと電話があり、3時間後に死亡したとの電話がありました。

ご遺族は、病院に対してどのようにして患者が亡くなったのかと説明を求めたが納得のいく答えが得られないと、5月に当研究会に相談されました。

 

相談を受けた弁護士は、9月にカルテの証拠保全の申立てを行い、11月に検証が行われました。

カルテの入手にあたっては、病院が電子カルテとなっているかという点だけではなく、コロナ感染下の病院の診療看護の体制、感染防止対策などの状況、患者の家族への連絡内容なども重要なので、カルテの任意開示ではなく、証拠保全の手続きを申し立てることにしました。

それを元に、病院の医療行為についてご遺族の記憶と照らし合わせて、質問事項を作成して、病院に説明会の開催を求めましたところ、病院側から応諾するとの回答がありました。

令和5年6月に、病院側からは、院長、副院長、看護部長、事務長、病院の弁護士が参加し、患者側は、家族と弁護士が参加して説明会が開催されました。

予め作成した質問事項に沿って、まず、病院の定めた行動指針による感染対策と感染判明後の「感染防止対策マニュアル」が説明されました。

その後、遺族側から事前に送った質問事項に対する回答として、院内の感染状況について、職員と患者に分けて感染者数や死亡者数、PCR検査や感染の後のゾーン分けについて回答がありました。

患者が同室者の中で一番先に発熱したという回答に対しては、患者への感染経路や、持病との関係などについて具体的に質問し、回答がありました。

病院の基本姿勢としては、専門病院ではなく、療養型病院で、当時、コロナの治療だけを担当するような感染症の専門医はおらず(現在も専門医はいない)が、病院としては、当時、できる限りの感染対策や「感染防止対策マニュアル」の履行を講じたとのことでした。

 

本件は、コロナによる緊急事態宣言下であるにもかかわらず、証拠保全を行いましたが、5類に移行後は、医療行為について医療過誤ではないかというご相談を受けることが少しずつ増えてきているように感じます。

この件が私にとっては、コロナ感染について説明会を開いた初めてのケースですが、高齢の親御さんが亡くなられて、まだ、日が浅いにもかかわらず相談にこられたご遺族は、新型コロナウイルス感染症という未曽有事態の下で、親がなぜ亡くなったのか、また、人間の尊厳を保って亡くなったのかを確認したいという強い愛情と事実を知りたいという感情に突き動かされているように見受けられました。

説明会の開催でその疑問がどこまで解消されたのか、それらの治療が当時の適切な医療行為と言えるのか、とは、別に、遺族の方が持っておられた病院は何も説明してくれない、何も教えてもらえないという不信感だけはいくらかはぬぐえたのではないかと考えています。

 

会員弁護士 T.S

 

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