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医療事件はどういう流れで進むのでしょうか?

2023.06.30

医療過誤の事件は、相談者のお話をじっくり聞いて、どんな医療行為に問題があると考えておられるかを知ることから始まります。しかし、相談者からの話だけに基づいて、発生した結果の責任を医療側に追及することは、余程のレアケースでなければあり得ません。

 

まずは客観的事実を確認するために、問題の医療機関だけでなく、場合によって,その前にかかっていた医療機関や転院先のカルテを入手し、内容を分析することが必要となります。注目すべき事象は、もちろんご相談者から伺ったことですが、必ずしもそれに留まらず、見落としている点がないかどうか、網羅的にカルテを検討します。

カルテを読みながら、弁護士が自分なりに疑問に思った点については、医療文献やインターネットを利用して調査をします。文献レベルで過誤と考えられる施術や投薬などが特定できたと考えても、その段階で損害賠償請求をすることは控えます。気になる点を質問事項に纏めて、協力医と呼ばれる専門医の意見を伺います。そうしなければ、思いもよらぬ反論が医療機関側からなされる恐れがあるからです。

協力医は、基本的には中立公正な立場ですが、時に、余りにも患者側・あるいは医療者側に偏っているのではないかという印象を持つことがあります。その場合は2人目の協力医を探したりもします。

相談者のお話やカルテに照らし合わせて、弁護士として協力医の説明に納得がいく場合、その結論に従って、損害賠償請求に進むかどうかを決めることになります。問題となる医療行為がないとは言えないが結果との因果関係がない場合などは、損害賠償請求は困難であることを相談者に理解していただかなければなりません。この時点までで、カルテ取得費用、調査のための弁護士費用、協力医費用が掛かっているので、先に進めないことを非常に残念と思われる相談者もいらっしゃる一方で、調査を通じて真実に近づくことができ納得したという方もおられます。

 

損害賠償請求が可能と判断した場合、通常は、示談交渉から開始します。

過失や因果関係がある程度明らかと言える場合は、医療側も示談交渉に乗ってくるため、損害額に焦点を絞って折衝し、短期間で交渉が終了することも少なくはありません。

示談交渉が決裂した場合は、裁判に進むかどうか、ここでも判断が求められます。

示談交渉を通して把握できた医療側の反論が妥当なものかどうか、改めて医療文献を調査したり、再度,協力医の意見を求めて,判断していくことになります。

訴訟にまで縺れ込む事件は、過失の特定や因果関係の証明が困難だからこそ、示談で収まらなかったケースですので、簡単に勝訴判決が貰えるというものではありません。訴訟にかかる時間的・経済的・精神的負担についての覚悟をしていただけた場合、弁護士は訴訟提起に踏み切ります。

訴訟が開始となり双方の主張立証がほぼ尽くされた段階で、裁判所から和解を勧められることもしばしばあります。和解を受け入れるべきか、あるいは判決まで突き進むか、慎重に検討しなければなりません。

 

このように医療事件には、難しい判断を迫られる場面があり、当事者も代理人弁護士もしんどい思いをすることがしばしばです。それだけに一層、当事者と弁護士の間の密なコミュニケーション、当を得た説明と理解が非常に重要となってきます。

 

会員弁護士 Y.U

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