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医療事故調査制度施行後3年-検証シンポジウムに参加して

2019.06.03

去る5月25日,医療事故調査制度の検証シンポジウムが開催されました。

医療事故調査制度は,平成26年の医療法改正に伴い創設された制度です。

 

死亡又は死産事例のうち,当該結果を予期しなかったものが調査の対象となります。

つまり,医療ミスが問題になるような事例は含まれることが想定されている制度です。

 

医療事故調査制度の運用が開始されてから3年が経過したことを受けて開催されたのが今回のシンポジウムでした。

シンポジウムでは,この3年間で1000件を超える数の医療事故調査が実施されてきたことが報告されました。

他方で,患者側・遺族側が調査を実施すべきだと感じているのに調査が実施されない事例の存在も浮き彫りになりました。

 

さらには,医療事故調査委員会が作成した報告書の中に,過度に防衛的になっており過失がなかったことを強調する記載になっているものがある,との指摘もありました。

再発防止策に関する言及がなく,そもそも医療事故調査制度創設の趣旨に合致しない内容になっていると考えざるを得ない報告書が作成されたものある,という事例報告もされました。

 

医療事故調査制度は,院内事故調査が基本とされることから,創設当初より,調査の趣旨・目的が正しく理解されず,徹底した原因究明がなされなかったり,再発防止に向けた提言がなされない事例が生ずるのではないか,と不安視する声もあったところ,その不安がいくつかの医療機関では現実のものとなっていることが判明しました。

 

当研究会においても,各会員の事例集約に努め,医療事故調査制度が適切に運用されていない事例があればその内容を全国に共有するとともに制度・運用の改善を求めていくよう努める必要があることが確認されたシンポジウムとなりました。

 

会員弁護士 H・U

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