医療過誤・医療ミスに巻き込まれたら一人で悩まずに専門の弁護士へ相談を【大阪医療問題研究会】

メール申込24時間受付

  • contact
弁護士リレーブログ

カルテ開示について

2022.06.30

カルテはドイツ語の「Karte」から来ているとされ,日本では診療録という意味で用いられています。

一言でカルテと言っても,医療機関によって入院記録と外来記録で別々の記録として保管されていたり,医師記録や看護記録,検査記録,手術記録,熱型表,重症記録,診療情報提供書(いわゆる紹介状)など,様々な書類があります。また,各種検査や手術が実施されている場合には検査記録や手術記録といった書類とは別に画像データあるいは動画データとして保管されている場合もあります。そのため,カルテ開示を求める場合には,これらの様々な書類やデータが全てもれなく開示されるように当該医療機関に求める必要があることに注意が必要です。

 

また,もう一つ注意点があります。それは,変更・更新記録についてです。電子カルテを導入している医療機関にカルテ開示を求めた場合,最新の入院記録あるいは外来記録のみが開示されることがあります。これは,一見問題ないように思われますが,次の点で問題がある場合があります。つまり,一度入力した入院記録あるいは外来記録の記載を後に変更・更新している場合です。このように変更・更新している場合,最新の入院記録あるいは外来記録だけでは「変更・更新前にどのような記載がなされていたのか」や「なぜ変更・更新したのか」などがわかりません。医療事故か否か判断するにあたっては,この変更・更新前の記録が重要な場合があり,変更・更新前後の全ての記録を確認しないと十分な判断ができないことがあります。そのため,カルテ開示を求める際には,この変更・更新記録も同時に開示するよう求める必要があることにも注意が必要なのです。

 

さらに,カルテ開示を求めた場合,開示費用が原則として必要となります。そのため,例えば入院期間が長期にわたっている事案や複数の診療科を受診している事案等の場合,カルテ開示を求めるべき期間あるいは診療科について全ての開示を求めると高額な開示費用がかかることがあります。そのため,医療事故か否か判断するために必要な期間あるいは診療科に限定して開示を求める工夫が必要となる場合もあります。

 

これらの点以外にも,当該医療機関の規模や診療科目によって,あるいはカルテ開示を求めても一部しか開示されない場合などは,カルテ開示手続ではなく,証拠保全手続に依った方が良い場合もありますので,カルテ開示を求めるべきか否かも含めてご不明あるいはご心配な点がある場合には事前に一度弁護士に相談されることをお勧め致します。

 

会員弁護士 M.M

PAGE TOP