コロナ禍における協力医面談の変化について
2022.04.30
1 従前の協力医面談について
⑴協力医面談の流れ
医療過誤か否かの検討を行う調査手続において協力医の存在は不可欠です。
調査手続を受任した後、まずはカルテをもとに診療経過をまとめて流れを把握した上で、関連するガイドラインや医学文献、更には裁判例等も踏まえて基本的な知見を得るように努めます。このプロセスを経ていく中で、特に疑問に感じた点を質問事項としてまとめて、協力医にお聞きするという流れになります。
患者側で活動している弁護士の多くもそうだと思いますが、協力医は医療事故情報センター経由で紹介していただくことが多いです。同センターにおいて登録されている協力医の所在地は、同センターの所在地である名古屋をはじめ、東京や横浜等、遠方に居住・開業されている方も多いです。
⑵コロナ前の面談方法
従前は、弁護士の方で、協力医の所在地(多くは協力医が勤務している医療機関)に出向き、対面で面談することが一般的でした。
対面でお話を聞くことで、その場でカルテや画像を見せながらやりとりすることができ、理解が早まるというメリットがありました。
他方で、特に遠方の場合には、①日程調整に時間がかかる、②交通費や日当等のコストがかかるといったデメリットもありました。
2 コロナ後の変化
しかし、コロナ禍の影響で、2020年の3月以降は協力医面談はzoomでのオンラインの形式となりました。
弁護士としては、分厚い記録の持参の必要もなく事務所にいながら面談が実施できるので非常に手軽で、また日程調整がスムーズで、交通費や日当といったコストもかからない(つまり依頼者の方の負担が減る)というメリットを実感しています。
他方で、オンラインということで、対面で得られるスムーズなやりとりがしづらいという点も否定はしがたいところです。もっとも、zoomの画面共有機能を使うことで、お尋ねしたいカルテの記載や画像をリアルタイムで示しながら質疑応答ができるので、リアルでの面談に比べてそこまでコミュニケーションの質が劣ることはない印象です。また、協力医によっては、予め医学的知見や事案における見解をまとめた資料を作成いただけることもあり、そうなるとますます対面で面談する必要性は下がります(もちろん、そのような丁寧な対応をしていただける方ばかりではありませんが・・・)。
従前どおりの対面での面談でしか得られない点は理解しておく必要がありますが、医療事故案件の処理についても合理化・効率化の余地がまだまだあると改めて実感した次第です。
(会員弁護士 Y.U)