医療機関による謝罪
2021.07.31
医療過誤被害に遭われた方、そのご遺族の方は、医療過誤事件を弁護士に依頼するにあたって、どのような要望をお持ちでしょうか。
「真実が知りたい」
「損害を適切に賠償してほしい」
このような要望をお持ちの方が多いかと思います。
あるいは
「医療機関に謝罪してほしい」
という要望をお持ちかもしれません。
この謝罪という要望は、比較的多くの医療過誤被害者の方から要望を受けます。
しかし、現実には「謝罪」を実現するというのは法的には非常に困難です。
医療過誤事件を弁護士が受任する場合、その目的は法律に適った解決をはかることにあります。
医療過誤分野を規律する法律は、基本的には民法です。
民法では、相手方に損害を与えた者に対して求めることができるのは原則として損害を賠償してもらうことであると定められています。
例外的に名誉毀損に限っては「謝罪広告」を求める場合があると考えられていますが、一般の損害賠償の場合には当てはまりません。
そうすると、医療機関側に「謝罪」をしてもらう、というのは法的に実現するのは非常に困難です。
医療機関側にとってみれば、「謝罪」をするということは、自らの過失を認めることが前提となります。
過失の有無を争う姿勢を見せている場合には、「謝罪」をしてもらうのはより困難であるといわざるをえません。
ただ、稀に医療機関からの謝罪が実現できる場合があります。
当研究会に所属の会員でも、複数の事案で謝罪が実現した事例の報告があります。
その結果、依頼者の方から感謝の言葉をいただいたとも聞いております。
会員弁護士 H.U