民間総合調停センターについて
2019.11.25
今回は、民間総合調停センターについて紹介します。法的紛争を解決する場としては、ご存知のとおり、裁判所で行う訴訟手続がありますが、裁判所で行う手続にも、民事調停という話し合い解決の手続があります。さらに、裁判所外で行う話し合い手続があり、裁判外紛争処理手続(ADR)と呼ばれています。
大阪弁護士会は、他の団体と共同して、公益社団法人民間総合調停センターを設立しており、多くの弁護士があっせん人を務めています。当研究会に所属する弁護士も複数あっせん人を務めています。
民間総合調停センターでの和解あっせん手続においては、3名のあっせん人が選任されますが、そのうち1名は医師が選任されます。2名の弁護士のうち、1名は、医療過誤案件について相当の経験を有する弁護士が選任されます。
和解あっせん手続は、原則として3回の期日で和解を成立させるかどうか見極めることとしていますが、医療過誤案件については、内容的に複雑なことが多いため、5~6回期日が行われる場合もあります。
民間総合調停センターの手続は、この手続での話し合いに応じるかどうかが相手方の任意であるため、以前は、医療機関側が手続自体に応じない(不応諾)が多く、医療過誤案件については解決の選択肢にならないと考えられてきました。
しかしながら、最近の実例でみますと、医療機関側が手続での話し合いに応じてくることのほうが多くなっており、医療過誤案件についても解決の選択肢になりうると思われます。
この手続に向いていると思われる紛争としては、歯科に関する医療過誤(あっせん人名簿の中に、歯科医師が登録されているため)、美容整形に関する医療過誤(損害賠償請求額が低額になることが多く、費用対効果の観点から訴訟手続をとりにくい)、医療機関との間で過失の存否について争いがなく、主な争点が因果関係や損害である事案が挙げられます。
申立は、代理人の弁護士を選任しなくとも、本人で行うことが可能です。申立に要する費用も請求額にかかわらず1万円と低額です。これらの点もこの手続のメリットであると思われます。
詳しくは、同センターのウェブサイトをご覧下さい。
https://minkanchotei.or.jp/
(会員弁護士 H.I)